ETCカードの普及率は年々上がってきています。他の車がほとんど停車せず快適に進むのを見ていると、自分の車にもETCを導入したくなりますよね。
ですが、ETC車載器の導入は簡単でも、ETCカードを作るのに苦労している人もいるのではないでしょうか。
ETCカードを作るためにクレジットカードが必要なのに、ブラックなのが原因でクレジットカードの審査に通らなくて困っていませんか?
実はクレジットカードを作らなくても、審査がなくても作れるETCカードがあるんです。今回はそのETCカードが、

というところを説明し、作り方も紹介していきたいと思います。
目次
ETCカードの審査とは?

審査なしのクレジットカードはない
一般的にはETCカードを作るにはクレジットカードが必要です。ですが、ETCカードを作りたい人の中には、

「作りたくても作れない」
という人がいます。そしてクレジットカードを作るときは必ず審査があります。審査のないクレジットカードはありません。

そもそもなぜ審査が必要なの?何を審査している?
最初にクレジットカードの仕組みを簡単に説明します。
普通利用者が商品やサービスなどに対してお金を払う際、クレジットカードを利用することで現金を支払わなくて済みます。
これは代金が無料になったということではなく、カード会社が一時的に代金を立て替えているということです。
カード利用者は、立て替えてもらった代金を後日必ず払いますという契約で、クレジットカードを発行してもらっています。
カード会社は必ず代金を回収しなければなりませんが、中には支払うためのお金がないなどの理由で返してくれない人もいます。
そういう事態を防ぐために審査はあるのです。つまり審査とは「ちゃんとお金を返せる能力があるか」ということを判断するためのものなんですね。
ETCカードは、クレジットカード機能と一体のカード以外は、ETCシステムでの通行料金を立て替える形で利用できるようになっています。
高速道路の通行料金のみをクレジットカードと同じ形で利用しているということになりますので、審査は必要になります。

審査に落ちる原因は何?
ETCカードが欲しくてクレジットカードに申し込みをしたけど、審査に通らないという場合もあると思います。

先ほどの説明の通り、審査で主に見られていることは「返済能力があるか」ということです。
支払いの延滞や債務整理の状態はいわゆるブラックと呼ばれます。どちらも返済能力が低いと見なされますので、審査を通過するのは難しくなっています。
ブラックになった覚えはないけどなぜ?
クレジットの延滞をした覚えがないのにブラックになっていたという人がいますが、原因として多いのは、携帯料金の滞納です。

スマホや携帯料金の滞納は若い人によく見られます。特にまだクレジットカードに対して知識がない場合など、リスクを知らないために、たかが携帯料金と甘く見てしまうんですね。
ですから、滞納が続いてしまうと知らない間にブラックリスト入りになっていた、ということもあるんですね。
審査なしのETCカードとは?

クレジットカードの審査がなぜ必要なのかはわかりました。

ETCパーソナルカードなら審査はなし!
事情があってETCカードが作れない人のために、高速道路の事業者6会社が発行しているのが「ETCパーソナルカード」です。
ETCパーソナルカードはなぜ審査がないの?
ETCパーソナルカードはクレジットカードの審査のように、年収や勤続年数などの項目は対象になっていません。
このカードではデポジット方式というものが採用されているため、そのような審査が不要となっています。
デポジットとは?なんのために必要なの?
利用額は5,000円単位で切り上げですので、デポジットは4倍の20,000円単位が基本となります。
例えば、月の平均利用額が18,000円だった場合、5,000円単位の20,000円に切り上げ、その4倍の80,000円がデポジットとして預ける額になります。
ETCパーソナルカードはクレジットカードのように信用情報は関係ありませんので、たとえ料金を延滞したり、自己破産したりしても信用情報が悪くなることもありません。
ですから極端な話、お金を払わなくてもペナルティがないということになってしまいます。
そんな回収不可能の状態を回避するために、デポジットがあります。
預託している金額は平均利用月額の4倍ですので、多少支払いがされなくても万が一の場合は、デポジットが利用料金に充てられるということです。
デポジットの追加タイミングは?
デポジットは、最初は申請した金額を預けますが、ずっとその金額でいいというわけではありません。
利用料金が当初の予定よりも多くなったときや、支払状況などに応じて事務局が追加すべきだと判断した場合は、追加するように通知が届きます。ひと月増えたぐらいでは追加はありません。
ただし、月5,000円以下の利用の場合は20,000円の70%を超えた時点で、追加の対象になり、6日か23日の近い日に届け出口座から引き落としされます。
デポジットは返ってくる?
デポジットは入会金などとは違い、保証金として預けているだけですので、支払いをちゃんとしている場合は解約時に全額返還されます。
審査がないということは100%通る?
信用情報は関係ないためブラックでも作ることができます。審査されるのは別の項目です。
例えば、使用する車の車種や台数、カードの利用目的、利用可能道路の利用見込みなどです。
書類の提出に応じない場合や申し込み内容が正しいと証明されない場合は、申し込みが拒否されることがあります。
よほどのことがない限りはそういうことはありませんので、申込書には正しい内容を記入するようにしましょう。
他に拒否になる原因になるものは、
- 住民票の届け出を正しく行なっていない場合
- 申告した利用予定料金があまりにも高額だった場合
- 高速道路の利用料金を不正に免れる行為をした場合、したことがある場合
- 高速道路事業者の管理する道路での、通行方法や規則などに違反したことがある場合
- 高速道路事業者の管理する道路で車両制限令に違反したことがある場合
- デポジットを振り込まないなど、債務の履行に応じない場合
- 過去の申し込みで名前や住所などに虚偽の申告があった場合
などがありますが、あまりに非常識的なことをしていなければ問題ない内容です。
利用予定の料金が高額だった場合というのは、例えば30万だったとすると、デポジットも100万を超えますので、その金額を払えるのかという話になってきますから、断られる可能性があるということです。
そこまで高額を利用するのは事業者であることが多いでしょうから、それはまた別のETCカードを申し込んだほうがいいでしょう。
上記の内容を見ても、前述の内容に加え高速道路利用に関するルール違反や、住民基本台帳の内容確認なども審査項目にあるとわかります。

費用や支払い方法は?

年会費はいくら?支払い月は?
年会費は、消費税込みで1,234円です。
支払い月はETCパーソナルカードの引き渡し日か、初めてカードを利用した日のうち、早いほうに属する月の翌月27日となっています。通常は引き渡し日のほうになるはずです。
例えば、1月31日にカードを受け取って、2月1日に初めて使用した場合、2月27日に年会費が引き落としとなります。(2月1日に利用した通行料金は3月27日に引き落とし)
次年度以降は、初回年会費を支払った月と同じ月ですので、先ほどの例で言うと2月ということになります。
再発行手数料はいくら?支払いはいつ?
再発行手数料も年会費と同じく、消費税込みで1,234円です。引き落とし日も同じ扱いになっており、再発行カードを受け取った日の月の翌月27日になります。
やむを得ない理由がない限りは、再発行手数料は会員が支払わなければなりません。
クレジットカード付帯の無料ETCカードとは違って、ETCパーソナルカードには年会費があります。有料で所持しているカードですので、無料カードより注意して管理する必要があります。

利用限度額はある?
利用限度額は預けているデポジットの80%です。
利用限度額には、年会費や発行手数料を含みます。この2つの支払いがある月は、その分の料金を引いた額が、高速道路の通行料として使える限度額になりますので、注意しましょう。
80%を超えてしまうと、カード停止になってしまいます。
また、利用料金の締め切り日は月末、支払いは翌月27日(当日が金融機関休日の場合は翌営業日)となっていますので、約2カ月分の料金が「未決済残高」となります。
カード停止から再開までどのくらいかかる?
80%を超えた場合は即座に停止しゲートを通過できなくなるため、連日使用する予定だった場合や、事業で使用している場合は非常に困ったことになります。
停止から再開までは、事務局から増額の要請と振替用紙が郵送される時間と、振替用紙で増額分デポジットの支払いが反映される時間があり、処理も事務局の営業日になりますから、だいたい2週間ほどかかります。
カード停止前に追加したデポジットは、振り込み後、翌営業日で反映されますのであまり待たずに済みます。
利用料金の明細書は届く?
明細書は支払い期日までに送られてきます。支払い金額と支払日も明細書に記載してあります。
また、領収書についても翌月に郵送されてきますので、事業をしている場合などにも安心です。
ETCパーソナルカードの作り方

申込書の取得方法
高速道路のサービスエリアなどで入手する
申込書を置いているサービスエリアは下記のURLから検索できます。
「施設・サービス」の欄から「高速道路・ETCサービス」または「ハイウェイ情報ターミナル」にチェックを入れて検索してください。
サービスエリアが近い場合や行く予定がある場合などは、この方法が最も早いでしょう。しかし、申込書の在庫がない可能性も考えると、電話で送ってもらうのが一番確実だと言えます。
事務局に電話をして申込書を郵送してもらう
電話での申込書の郵送依頼は、5分ほどで完了します。いくつかの説明があり、住所や名前を伝えて郵送してもらいます。電話の内容は次のようなことです。
月の利用予定額を聞かれます。審査はありませんが、保証金を預ける必要があることを説明されます。
20,000円の場合(月5,000円以下の利用)のみ注意事項の説明があります。20,000円の70%にあたる14,000円(年会費を含む)を超えた時点で、追加預託分の20,000円が口座から引き落としになります。
振替ができなかった場合、カードが停止となり支払いまでカードは使えなくなります。という内容の説明です。
その後、名前・住所・日中連絡できる電話番号を聞かれます。申込書の郵送を承りました、と言われ終了です。
カードを受け取るまで約1ヵ月ほどかかります。金曜日の電話では、朝10時の申し込みでも週明けの発送になるとのことで、到着は5~6日後になります。
急いでいる場合は、金曜日より前に連絡をすることをおすすめします。
ETCパーソナルカード事務局(平日9:00~17:00)
TEL:044-870-7333
NEXCO東日本お客さまセンター(24時間365日)
ナビダイヤル:0570-024-024
PHS・IP電話のお客さま:03-5338-7524
インターネットからは申し込みできない
インターネットから申込書のダウンロードなどはできず、サービスエリアのインフォメーションか、電話連絡での郵送をしてもらうかのどちらかになります。
ネットオークションでも出品されており、申込書は本物ですが、公式に出品されているものではなく、こちらは数百円かかりますのであまりメリットはありません。
1.申込書の返送
申込書が届いたら必要事項を記入し、事務局へ返送します。
このとき一緒に「本人確認書類」を同封するのを忘れないようにしましょう。通常は運転免許証で大丈夫です。
2.デポジットの振り込み
返送した申込書の内容に不備がなければ、デポジットの振替用紙が届きます。郵便局やコンビニで支払えます。
3.カードの到着
デポジットを振り込んで2週間程度でETCパーソナルカードが送られてきます。カードは届いたときから使えます。
ETCパーソナルカードの停止・会員資格取り消し・喪失について

カードの停止の条件は?
次のいずれかに該当する行為があったとき、カードが停止される場合があります。
- 高速道路利用料金や、カード利用に関する料金を支払わないとき
- 増額分のデポジットを預けなかったとき
- 未決済残高がデポジットの80%を上回ったとき
万が一それに気づいてなかった場合、ETCゲートの開閉棒が開かないので、現金で支払う必要があります。
カード停止が原因で開閉棒を破損してしまった場合でも、事業者は補償してくれませんので気をつけましょう。
ETC利用照会サービスに申し込もう
ETCパーソナルカードは利用料金をしっかり把握しておくことが大事ですが、利用回数が多くなってしまったときなど、覚えておくのが難しい場合もあります。
そのときに役に立つのが、「ETC利用照会サービス」です。
このサービスも、ETCパーソナルカードを発行している6会社が提供するもので、インターネットから過去15ヵ月の利用証明書・利用明細の確認ができるサービスです。
インターネットがあればいつでも使用履歴が確認できますので、自分で覚えておく必要はありません。

カード会員の資格が取り消し、喪失になる条件とは?
次のいずれかに該当する行為があった場合、カードの停止に加え、会員資格も取り消される可能性があります。
- 申込みの際に、名前や住所などの情報に虚偽の申告があると認められたとき
- 住所が日本国内ではなくなったとき
- カードの利用が承認されたあと、引き落とし口座の設定手続きが完了しないとき
- デポジットの返還請求権を、第三者へ譲渡したとき
次のいずれかの場合は、資格喪失となります。
- 個人の会員で、本人が死亡したとき
- 法人の会員で、会社が解散したとき
- 会員が、民事再生、破産、会社更生などの申し立てを受けたとき、または自ら申し立てたとき
この他にもありますが、「支払いを行わなかったとき」や「規約を守らなかったとき」など非常識的な行為が取り消される条件に該当しますので、普通は大丈夫でしょう。
会員資格が取り消されることになった場合、このカードだけではなく6会社が発行・貸与しているすべてのカードが対象となることがあります。
例えばETCコーポレートカードも、東/中/西日本高速道路株式会社が発行するものですので、このカードも同時に取り消される可能性があるということです。
取り消し、喪失になった場合はデポジットの返還を請求することができます。
解約の方法は?デポジットの返還はどうなる?

ETCパーソナルカードを解約するには、まず事務局に電話で解約の意を伝えます。
折り返しの電話があり、解約の書類を送ってもらえますので、それに必要事項を記入し、カードとともに事務局へ返送します。
デポジットは、滞納などがなければ全額返還されます。
電話連絡した際に、返還方法の説明がありますので、その流れに沿って手続きをすることになります。解約の手続きから、1ヵ月程度で指定口座に返還されます。
家族カードが作れるなら、そのほうが簡単

もし生計を一にする家族が、家族カードを作れるクレジットカードを持っているなら、その人に頼むほうが簡単です。
注意点としては、クレジットカード会社によっては、本会員の名義でしか作れなかったり、家族名義の口座引き落としはできなかったりということがあります。
本会員の口座から引き落としとなるため、明細の内容も本会員に知られてしまうというデメリットもあります。それを考慮した上で作成を検討しましょう。
ブラックでも作れるクレジットカードはある?

信用情報がブラックだとクレジットカードが作れないとよく聞きますが、これは正しい表現ではありません。
ブラックの人にクレジットカードを発行してはいけないという決まりはないため、作れる可能性は低いですが、絶対に無理というわけではありません。
クレジットカードを持つのに抵抗がないのであれば、審査がやさしいと言われているクレジットカードに申し込んでみるのも手です。
ETCパーソナルカードに関するQ&A


規約では一度の申し込みで1枚となっています。同一名義で複数枚申し込むこともできません。
複数枚持っても、その分デポジットのお金が必要なため、メリットがありません。使用者本人の名義で作成しましょう。

16歳から申し込めます。ただし、未成年の場合は親権者の同意が必要となります。

可能です。会員本人の名義又は会員と生計を一にする父母、配偶者若しくは子の名義による口座となっています。

事務局からの要請以外でも、自分でデポジットを増やしたい場合は、増額することが可能となっています。
デポジットの額は20,000円単位となっています。電話で問い合わせて振り込み用紙を送ってもらい、入金をすると翌営業日に反映されます。

残高不足などが原因で利用料金の支払いが延滞した場合には、延滞料金として未払金額に年10.75%を乗じた金額を支払わなければなりません。

規約ではデポジットの返還請求権は、第三者に譲渡してはいけないこととなっています。本人名義の口座に返還ですので、基本的には第三者の口座に返還はできません。
名義人が死亡した場合、病気で手続きができない場合は、親族が代わりに手続きをすることができます。
デポジットが返還されないということはありませんので、事務局に相談してみましょう。

個人の申し込みでは、本人確認書類は運転免許証などになりますが、法人の場合は「登記簿謄本」や「登記簿抄本」が確認書類となります。
ETCパーソナルカードは審査不要の唯一のETCカード
ETCパーソナルカードは、個人が持てるものの中では唯一審査がないため、取得するのが優しくなっています。
クレジットカードの審査に悩んでいた人にとっては、ありがたい話ですよね。
クレジットカードは信用の元に成り立っていますが、だからといってETCパーソナルカードには信用が必要ないということではありません。
確かにデポジット制度というものはありますが、気にせずに好き勝手使っていると、限度額オーバーや支払いの遅延などから、カード停止、会員資格取り消しという処分になる可能性もあります。
場合によっては、クレジットカードでしかETCカードを作る手段がなくなる、ということも考えられます。

「そもそもなぜ審査が必要なのか?」