ETCカードは通常何もしなければ、明細がもらえるのは高速道路で一般のレーンで支払ったときだけです。
ETCカードで一般のレーンで支払えば明細はもらえますが、ETCで無線通行できないのでこれでは不便ですよね。

いざというときに焦らないように、ETC利用明細の確認の仕方を覚えておきましょう。
今回は、もっと便利に走行履歴を確認できるカード会社の利用明細とETC利用照会サービスについて、紙の明細を取得する方法も含めて解説していきたいと思います。
目次
ETCカードの種類

今回の記事の便宜上、ETCカードの種類を簡単に紹介しておきます。似たような名前があり混乱してしまうので、チェックしておいてください。
今回説明するのは、
- 「ETCクレジットカード」
- 「ETCパーソナルカード」
- 「ETCコーポレートカード」
の3種類です。ETCクレジットカードは、クレジットカード会社がクレジットカードを作る際に、付帯オプションとして発行しているETCカードのことを指します。
「分離型」と「一体型」があります。ETCパーソナルカードは、高速道路事業者6社が発行しているカードで、クレジットカードを作りたくない、または作れない人向けに発行されるカードです。
この2枚は主に個人向けのカードになります。
その他に事業者向けのカードとして、ETCコーポレートカードがあります。
ETCクレジットカードにも事業者向けのものがありますが、ETC割引やカード登録枚数の制限などを考慮するとこちらの方がメリットがあります。

2つの利用明細を比較

ETCの利用明細を確認する方法は2つあります。カード会社の明細を確認する方法と、ETC利用照会サービスで確認する方法です。
カード会社の発行する明細を確認する
カード会社の場合、最近ではWebで明細を提供している会社が多くなりました。利用速報として素早く反映されるカード会社もありますが、遅いカード会社もあります。
また、Web明細を利用する場合は、明細は送られてこないため、自分で印刷する手間が必要です。
紙媒体で発行をしてもらうなら、その手間はありませんが、カード会社の締め日によっては遅くて翌々月になる場合もあります。
ETC専用のページというものはなく、通常のカード明細と一緒に表示されます。スマートフォンのアプリが用意されている場合もあり、そちらのほうが使いやすいのでおすすめです。
ETC利用照会サービスを使って確認する
ETC利用照会サービスは道路事業者が提供するサービスで、所有しているETCカードを登録することで、インターネットで利用明細を素早く確認できるようになっています。
ETC利用照会サービスでは、道路事業者によって異なりますが、ほとんどの場合最短4〜5時間で、遅くても利用翌日の夕方以降となっています。
カード会社とETC利用照会サービスの比較

カード会社の明細と、ETC利用照会サービスを利用する場合、一体どちらのサービスが使いやすいのか、各項目で比較してみました。
登録枚数の上限は?
カード会社は、家族カードであれば名義人にすべて請求がきますので、実質一括管理することができます。
あまり実用的な方法ではないと思いますが、そのほうがいいなら管理はしやすいでしょう。
ですが、ETC利用照会サービスの場合も同じことができます。
家族のETCカードをまとめて登録したり、法人や個人事業で複数枚利用している場合は一括管理ができて、確定申告の面でも手間の面でも非常に便利ですね。
万が一上限を超えたとしても、新しくIDを作れば対応できます。
データ管理のしやすさはどう?
カード会社の場合はWebで明細を確認できますが、大体の会社はそのときにPDFにすることもできます。CSVデータとして出力も対応しているところが多いです。
ETC利用照会サービスの一番のメリットと言えそうなのが、データの管理がしやすいということです。
カード会社の場合だと、ほぼ走行履歴を閲覧するだけになりますが、
- 利用照会サービスの場合は利用年月日の期間を指定して検索できる
- ETC無線通行のみやETCカードの手渡しのみの指定ができる
- 月の区切り日を選択できる
- 1度に100件まで表示できる
と、柔軟な検索が可能になっています。
また、CSVデータとして5,000件まで出力してダウンロードもできますので、Excelでの管理も簡単です。
印刷に対応している?
カード会社は上記の明細を閲覧するときに、印刷も同時に行うことができます。経費の関係で必要な場合は必須の機能ですね。
PDFを作成する機能がありますので、表示されたらそのまま印刷するだけで簡単です。もちろん利用証明書も印刷できます。
利用証明書は、原則1枚に1件(1往復)の情報が表示されるようになっています。

印刷やデータ出力だけみれば、カード会社も利用照会サービスもどちらでもできます。
ただし、カード会社の場合はショッピングで支払った明細も同時に表示されますので、検索条件で指定できる利用照会サービスのほうが使い勝手はいいです。
また、レシートのような利用証明書と比べると、管理はとても楽になります。
利用証明書だと、高速道路の利用頻度が高いとかさばってしまい、紛失の可能性もありますが、カード会社や利用照会サービスだと、1枚の紙に数十件表示できますので、少ない枚数で確認もしやすいです。
データの長期保存に対応している?
ETC利用照会サービスの利用明細は、15ヵ月保存されます。毎年確定申告のときだけチェックするとしても、データが消えているということはないので安心です。
逆に言うと、15ヵ月より前のデータは保存している場合を除いては、見られないということになります。
カード会社の利用明細も1年程度までしか閲覧できない会社が多く、印刷して保存しておくことで対応しておくしかなさそうです。
利用照会サービスとカード会社の明細どっちがいい?

ETCの利用履歴に特化しているだけあって、データの管理のしやすさが段違いです。事業で頻繁に利用する場合は重宝します。
ですが、そもそもどちらか選ばなくても、どちらも利用することはできますので、用途や好みに合わせて使えばいいと思います。
ETC利用照会サービスは、ETCをそんなに利用しないのであれば、そもそも登録ができないようになっています。
そういう人にとってはカード会社の明細で十分だと思います。
1年に1度でも利用しているというのなら、登録しておいても損はありません。割引の内容なども記載されますので、その点も分かりやすいです。
ETC利用照会サービスに登録するには?

登録するのに必要なものは、
- 「メールアドレス」
- 「ETCカード番号」
- 「ETC利用年月日」
- 「車載器管理番号」
- 「車両番号」
です。事前に用意しておくと登録がスムーズです。
高速道路を利用した直後だと、利用年月日に困ることはないですね。
参考:ETC利用照会サービス
トップページの「新規登録」から必要事項を入力し仮登録を行ったあと、届いたメールから本登録を行います。
その際に、事前準備したものを参考に入力すれば完了です。実際の閲覧は4時間後くらいから可能になります。
ETC利用照会サービス明細の確認方法

「検索条件を変更する」をクリックします。

上記のような画面が表示されます。各項目を説明していきます。
利用年月日
表示したい期間の最初から最後まで指定します。過去15ヵ月前までの走行履歴を検索できます。
月ごとに分けて表示したい場合、1年間の走行履歴を表示したい場合は、まとめて表示できるため便利です。
走行区分
- ETC無線走行のみ
- ETCカード手渡しのみ
- 全て
から表示するかどうかを選べます。
ETCのゲートで通信エラーが出たときは、やむを得ずETCカードを手渡しで支払わなければなりません。
手渡しの場合は利用証明書がもらえますので、その分を除外して印刷したい場合には「ETC無線走行のみ」をチェックします。
車両番号
前の項目で「ETC無線走行のみ」を選んだときは、この項目を入力することができます。
車両番号とは車のナンバーのことです。特定の車両を指定する必要がなければ、空欄のままでも問題ありません。
月の区切り日の選択
利用明細を月末以外で区切りたい場合、月末か1~31日まで指定できます。例えば、9月分を1日と20日で区切った場合は以下のようになります。
- 1日区切り:8月2日~9月1日までが9月分として表示される
- 20日区切り:8月21日~9月20日までが9月分として表示される
1ページの表示件数
1ページに何件の走行履歴を表示するか選択できます。最大の表示件数は100件ですので、それ以上は2ページ目以降に表示されることになります。
表示対象のETCカード番号
上の画像では1つの番号しか表示されていませんが、ETCカードを複数登録している場合は複数の番号が表示されます。
見たいデータのETCカード番号をチェックすると、その分だけみることができます。(*はセキュリティの関係上伏せ字になります)
また、右下の「この条件を記憶する」を一度クリックすると、指定した条件を覚えてくれます。

他の利用明細の確認方法

ETC利用履歴発行プリンターを使う
特定のサービスエリアやパーキングエリア、カー用品店などでは、ETCカードを読み込んで履歴を発行してくれるプリンターが設置してあります。
発行は1枚ずつでが、経費の精算用などで必要になった場合は役立ちますね。
ETC利用履歴発行プリンターの注意点は、利用が確定したものしか発行できないということです。
例えば、発行しにわざわざ高速道路に乗ってパーキングエリアに行ったとしても、その分の料金はまだ降りるまで確定されないため、発行はできません。
プリンターを導入する
値段はそれなりにしますが、ETC利用履歴発行プリンターと同じ機能を持つものが市販されています。事業などで定期的に利用する場合、必要な場合は導入してもいいでしょう。
法人に便利な有料ソフト
有料ですが、ETCカードの利用明細を確認して出力できるソフトもあります。
参考:ETC明細一発くん
個人には不向きですが、事業で使用している場合など、ETCカードの枚数が多いときは重宝しそうですね。
履歴を確認できるアプリもある
ETCカードの番号を入力して履歴を確認できるスマホアプリもあります。

ETCの利用明細に関するQ&A


登録時には車載器管理番号が必要になりますので、レンタカーを借りたときに確認しておくか、レンタカー会社の窓口に問い合わせて確認しましょう。

検索条件を指定するときに「ETC無線走行のみ」をチェックし、車両番号の欄に車のナンバーを入力します。
所持している車の台数分、これを繰り返します。ただし、ETCカード手渡しでの支払いは表示されないので注意してください。

ログイン後、上にあるメニューから「カードの追加登録/削除」をクリックします。
現在登録されているETCカード番号と、入力画面が表示されますので、ID作成時に入力したように新しいETCカードの番号を入力していきます。車載器管理番号や車両番号は重複しても問題ありません。
これをカードの枚数分繰り返してください。
最初の登録と同様に、4時間程度で履歴を表示できるようになります。
ETCクレジットカードとETCパーソナルカードは10枚まで登録できます。10枚を超えて登録したい場合は、新たにIDを作って登録します。
ETCコーポレートカードの場合は、1,000枚までで、それを超える場合は同じくIDを作ります。

事前にETCカードを複数枚登録しておく必要があります。
上記の「複数のETCカードを登録する方法は?」を参照してください。
登録後、検索条件の指定で「表示対象のETCカード番号」の欄にETCカードの番号が表示されますので、希望のカード番号をチェックして検索してください。

ETCクレジットカードとETCパーソナルカードは同じIDで登録することができますが、ETCコーポレートカードを登録したIDでは、ETCコーポレートカードのみしか追加登録することができません。
両方のカードを所持している場合は、IDを分けて登録する必要があります。

1つのIDに複数のETCカードは登録できますが、1枚のETCカードに対して複数のIDで登録することはできません。
まとめ
ETC利用照会サービスは、ETCの利用履歴を扱うのに特化しているだけあって、使いやすさではクレジットカードの明細より圧倒的に有利と言えます。
道路事業者が提供するものですので、安心もできます。
ですが、登録する手間はかかりますので、その手間を考えても使う価値があるかを考えたほうがいいでしょう。
カード会社は、特に何の手続きも必要なく明細を見ることができますので、反映に時間がかかってもいいという場合は、カード会社の明細を利用しましょう。
使う用途に合わせて選んで有効活用していきましょう。