ETC割引には多種多様な割引制度が用意されています。それゆえにどの割引がいいのか混乱してしまう人もいるのではないでしょうか。割引があると知らなかったために通常料金を支払って損をした、なんてことになったら嫌ですよね。今回はそんな「割引の種類が多すぎてどれがお得かわからない!」という人のためにETC割引の比較や、うまく使う方法を紹介していきたいと思います。
目次
連休に利用したい「休日割引」

最も利用率の高い割引
休日割引は土日・祝日に高速道路の料金所を通過すると、料金が30%割引になるサービスです。対象車種は普通車と軽自動車等のみになっています。対象の高速道路は、NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本の3社と、宮城県道路公社の仙台松島道路です。日本の高速道路の中でも広い範囲が対象となっており、また休日が対象になりますので利用する機会が多い割引になります。
利用条件が、土日・祝日に料金所をETC利用で通過するだけなので、ETC割引の中でも最も分かりやすく利用しやすいものとなっています。ETCマイレージサービス、大口・多頻度割引と併用可能です。
通過時間をうまく調整して平日に休日割引を受ける方法
休日割引は受けたいけど、金曜日に出発したいので休日割引は受けられないと思っていませんか?確かに金曜日の早い時間に入口料金所を通過して、出口料金所を通過するのも金曜日になるのであれば休日割引はうけられません。
ですが、平日に入口料金所を通過して休日に出口料金所を通過したり、入口と出口料金所の両方が平日であっても、その間に休日が入っているのであれば、休日割引の対象になります。一番嬉しいのは、平日の祝日を挟む場合ですね。平日に入口料金所を通過して、祝日を挟んで平日に出口料金所を通過するという使い方ができます。大型の連休だとさらに多様な使い方ができそうです。
大型連休以外での現実的な利用方法としては、土日を使ってそれなりに遠い場所へ行きたいが、なるべく早く出発したい場合などでしょうか。金曜日の夜に出発して土曜日をまたぐだけで休日割引の対象になります。移動時間として金曜日が使えますので、土日を有効利用できますね。
「深夜割引」は最も万能な割引制度

深夜割引はすべての車両対象で、0時~4時の間に料金所を通過すると通行料金が30%割引となるサービスです。時間帯が深夜ということを除けば、かなり使いやすい万能な割引制度になります。対象の高速道路は休日割引と同様、NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本の3社と、宮城県道路公社の仙台松島道路です。
深夜に利用するなら使いやすい割引
0時~4時の間に入口か出口どちらかの料金所を通過すればいいため、例えば23時に高速道路に乗って、2時に出口料金所を通過するといった使い方でも割引の対象になります。休日割引との併用はできませんが、平日に高速を利用したいという場合でも出発や到着の時間を調整して深夜時間に通過するだけで、休日割引と同様の30%割引を受ける事ができます。
深夜割引は時間以外の制限がない
さらに走行距離や回数の制限などはなく繰り返し利用できるため、通過する時間にさえ気をつけていればかなりお得に使えます。そして、深夜割引の最も良いメリットとなるのが、休日でも平日でも365日いつでも利用できるという点です。時間帯以外の制限がないため、かなり万能な割引制度です。平日に深夜でも利用できそうな機会があれば積極的に使っていきましょう。
利用頻度が高いなら割引率が高い「平日朝夕割引」を有効活用したい

平日朝夕割引はあったら嬉しい割引
平日朝夕割引は、1ヵ月の走行回数が5回以上ある場合におすすめの割引です。対象日時は祝日を除く平日の朝6時~9時、または夕方17時~20時です。各時間帯に入口または出口料金所を通過した場合に、1回の走行としてカウントされます。カウントされるのは各時間帯に1回のみで、1日最大2回となります。
走行回数が5回~9回だと30%の割引率で、10回以上の利用だと50%の割引率となります。ただし還元されるのは100kmまでの走行に対してです。1回の走行ごとに還元額が計算され、合算した1ヵ月分の還元額が、翌月20日にETCマイレージサービスの還元額として付与されます。還元額は付与された翌日以降の高速料金の支払いに充当することができます。
具体的な計算方法は?
最大の50%割引を受けたいなら10回の利用が必要ですが、朝夕で往復するのであれば、5日間の利用で済みます。仮に1回利用分の通常料金が1,410円、走行距離が40kmだったとすると、10回の利用で14,100円、総走行距離は400kmになります。10回利用するとして割引額の計算は以下のようになります。
四捨五入して10円単位にしますので、1,230円となります。さらに通常料金1,410円から1,230円を引いた180円が1回あたりの還元額、10回利用していますので1,800円がトータルの還元額になります。実質の高速道路利用料金は12,300円ということになりますね。
仮に休日割引を利用して同じ条件で走行した場合、1,410円の30%で約990円、10回利用で9,900円になります。10回利用の場合だと平日朝夕割引のほうが割引率は高いですが、100km制限があるため休日割引のほうが2,400円お得になっています。
とは言っても平日と休日ではあまり比較になりませんので、状況に合わせて使い分けたほうがいいでしょう。平日朝夕割引は、平日に通勤のような用途として高速道路を走る場合には、絶対に利用したほうがいい割引になります。
だんだんメリットが増えてきている「ETC2.0割引」

ETC2.0割引は、ETC2.0対応のETC車載器を搭載した車両で料金所を通過することによって受けられる割引です。対象道路は圏央道(茅ヶ崎JCT~海老名JCT、海老名~木更津JCT)、新湘南バイパス(藤沢~茅ヶ崎JCT)のみと限定的です。
割引料金は通常料金から2割引程度(公式には2割引とされていますが、実際は2割を切ります)となります。例えば、入間~境古河間を走行した場合、通常料金だと2,140円のところETC2.0だと1,810円になります。
ETC2.0に対応したETC車載器は、他の車載器に比べるとまだまだ高額なものが多く、セットアップの料金も若干高いため、現時点ではあまりメリットがあるとは言えませんが、長い目で見れば元が取れるはずです。特に圏央道や新湘南バイパスを頻繁に利用する場合は導入しておいて損はないはずです。
料金割引以外のメリットもどんどん追加されていますので、今後が期待されます。過去にはETC2.0車載器の購入補助金キャンペーンがありましたので、再度受付開始されたときはそのタイミングで導入してみるのもいいかもしれません。
本格的な旅行は「ETC周遊割引(ドラ割)」を活用する

ETC周遊割引は、主に旅行目的で高速道路を利用する場合にお得な割引制度です。定額で高速道路が乗り降り自由になる乗り放題プランや、指定された発着エリアから目的地までの料金が定額になるプラン、特定の地方を観光するための観光フリーパスプラン、二輪車限定で対象エリア内の乗り降りが自由になるツーリングプランなど、ETC利用で高速料金が定額になるお得プランがたくさんあります。
具体的にどのくらいお得?
どのくらいお得か「2018東北観光フリーパス」を例にとって見てみましょう。このフリーパスのうち、「東北6県周遊プラン」という東北周遊エリアの高速道路が連続する2~3日間乗り降り自由になるプランでは、例えば以下のような割引額になります。
- 1日目・・・山形北IC~大鰐弘前IC~十和田ICを利用で9,350円
- 2日目・・・十和田IC~軽米IC~西根ICを利用で3,330円
- 3日目・・・西根IC~北上江釣子IC~平泉前沢IC~山形北ICを利用で4,960円
総走行距離は840kmほどで、通常料金だと合計額は17,640円です。東北観光フリーパスは3日間で10,500円ですので、7,140円もお得ということになります。しかもこれは普通車の料金ですので、軽自動車だともっと安くなります。
さらに東北観光フリーパスの特典として各県の宿泊施設、レジャー施設、美術館、飲食店などの施設で優待を受けられる特典があります。特典を受けるには申込時の完了メールを印刷したものや、携帯画面を提示するだけです。
支払いは還元額でもできる!
平日朝夕割引の還元額やETCマイレージサービスの還元額の残高がある場合は、ETC周遊割引の支払いに充当できるプランもありますので、すべて還元額を使えば実質無料で利用することもできます。定額料金の支払いは通常の高速料金と同様で、超過分は請求されず定額分のみ請求されます。平日朝夕割引の回数にはカウントされませんので注意しましょう。

事業者であれば断然「大口・多頻度割引」

大口・多頻度割引は、主に事業者向けの割引制度で1ヵ月の高速道路の利用額に応じて割引率がアップするサービスです。5,000円を超え10,000円までは10%割引、10,000円を超え30,000円までは20%割引、30,000円を超える場合は30%割引になります。
これに加えて、契約単位割引というものもあり、1ヵ月の高速料金利用額が500万円を超え、自動車1台あたりの平均利用額が30,000円を超える場合は、10%割引されます。
ETC2.0を利用して割引率アップ
さらに、ETC2.0を利用している場合は、各割引率にプラス10%されます。つまり、最大50%の割引があるということになるんですね。
事業に使用しているのであれば、月に10,000円超えることは珍しくないでしょうから、ETC2.0を利用するなら平日のみの利用でも30%の割引を受けられるということになります。1ヵ月の利用金額が10,000円を超える場合は検討してみる価値はあると思います。
どうしたら利用できるの?
利用にはETCコーポレートカードが必要になります。ETCコーポレートカードは主に事業者向けのETCカードになりますが、実は個人でも作ることができます。ですが、残念ながらETC2.0によるプラスの割引率があるのは事業用の車両のみとなっています。
特定の道路での割引

休日割引や深夜割引などの広く行われている割引以外にも、地域限定の割引もあります。近くに住んでいるなど、利用機会がある場合にはお得になりますので、覚えておきたいところです。
外環道迂回利用割引
首都高速道路の都心環状線内の出入り口を発着し、かつ東京外環道を1JCT間のみ迂回して対象の放射高速道路を利用した場合、適用される割引です。迂回分の料金が割り引かれますので、迂回しなかった場合と比べて料金の増減はありません。
料金所での料金やETC車載器に表示される料金は通常料金ですが、請求は割り引かれた後の金額になります。具体的な金額は以下から確認できます。
外環道の割引後料金と首都高速道路の割引後料金
アクアライン割引
東京湾アクアライン(浮島IC~木更津金田ICまで)というごく限られた道路のみの割引ですが、割引率がかなり高いので利用する機会がある場合は是非覚えておきたい割引です。浮島IC~木更津金田ICまで利用した場合、軽自動車で2,470円のところが640円、普通車で3,090円のところが800円となります。これを聞いたらETCなしでは通れないですよね。
関越特別区間(水上~湯沢間)のETC割引
平成26年4月1日~平成36年3月31日までの限定で、関越特別区間(水上~湯沢間)の料金が割引される制度です。例えば、水上IC~湯沢ICまで走行したとき、通常料金は1,270円ですが、この割引が適用されると850円になります。
ETCマイレージサービスで割引

すべてのETC割引と併用できる割引!
ETCマイレージサービスは、ETCでの高速道路の通行料金の支払いに対して貯まるポイントで、貯まったポイントは高速料金の支払いに充当する事ができ、実質割引と同じ意味になります。ほぼすべてのETC割引と併用できますので、割引額を最大限活用したい場合は必須のサービスになります。
他の割引が適用される走行にもポイントが付く
併用した割引に対してもポイントが付くのがこのサービスのいいところです。ただし、還元額を利用した料金分のポイントは付きません。例えば、その月の高速道路利用額が5,000円で2,000円分の還元額があって利用した場合、ポイントが付くのは3,000円分のみになります。
ポイントの付与率・交換レート・有効期限は?
ポイントの付与率は、NEXCO西日本/東日本/中日本で10円に付き1ポイントとなりますので、還元率はかなり高いほうになります。
ポイントから還元額への交換は同NEXCOの道路で1,000ポイントが500円、3,000ポイントが2,500円、5,000ポイントが5,000円というふうに一度に多く交換するほど交換効率が高くなりますので、なるべく貯めてから交換しましょう。ポイントの有効期限はポイントが付いた年度の翌年度末までです。
利用するにはどうすればいい?
ETCマイレージサービスを利用するためにはサービスに登録する必要がありますが、ETCカードとETC車載器があれば誰でも登録できます。ただし、例外としてETCコーポレートカードについては登録対象外になります。
高速道路をある程度利用しているなら、登録しておくことをおすすめします。大まかな目安としては、年間1万円以上の利用がある場合は割引を活用することができるでしょう。
ETCマイレージサービス
ETC割引額を事前に確認して最安値で利用しよう!

特に関東圏では道路が複雑に交錯していて、その分割引もわかりにくくなっています。瞬時に計算できる人は少ないのではないでしょうか。そんなときに便利なのが、NEXCO東日本が提供する「高速料金・ルート検索サービス」です。
ETC2.0に対応した割引も表示されますし、アクアライン割引などの限定的な割引も適用された料金が表示されますので、非常に便利なサイトです。
ドラぷら 高速料金・ルート検索
IC名が分かっているなら名前を入力しても良いですが、似たような名前のICがあると検索しづらいため、そんなときは「地図から検索」で検索すると簡単です。
10.ETC割引を有効活用するためのまとめ
メインは休日割引か深夜割引
利用する曜日が土日・祝日か、深夜時間になる場合は休日割引か深夜割引のほうが、条件もわかりやすく割引を無駄なく受けることができます。条件も複雑ではないので利用もしやすいです。これだけ手軽に利用できて30%という割引率は決して低くはありませんので、十分にお得感を感じることができるでしょう。
平日朝夕割引は平日の月5回以上高速に乗る場合にお得
朝6時~9時、夕方17時~20時に利用する場合は、絶対に使いましょう。100kmの制限がありますが、使わないよりはお得になります。
地域限定の割引も積極的に使おう
割引額が大きいものもあるため、積極的に使っていきたいところです。そこでしか使えないため、よりお得感を感じられます。
ETCマイレージサービス
年間1万円以上の高速道路の利用がある場合にお得です。必ず登録しましょう。
